田瀬氏が手がけた『里山住宅博in神戸』の外構

近年の外構の考え方を根本から見つめ直します

施工が簡単だから。
費用が安いから。
管理に手間がかからないから。
そんな合理主義が、昨今の住宅の外構を席巻しているように思います。
家に費用をかけすぎて、外構の費用が捻出できないという話もよく聞きます。
経済的なことはひとまず置いておいて、まずは「暮らし」の本質を考えてみませんか。


『薩摩町家』株式会社創建

ウチとソト

家の中だけが素晴らしければ、一歩踏み出した外は粗末でも良いのでしょうか。
内はキレイなもの、外はキタナイもの。
そこにある境界は、人が妄想した利己的な境界に過ぎません。
内と外はつながっています。窓を開ければ、外を吹く風は入ってきます。
空気は自由に行き来します。
光だって、匂いだって、入ってきます。
内は外に包まれています。
それならば、外だって豊かにしたい。


 

子ども、成長、思い出

コンクリートと金属で固められ、草一本生えてこない。虫一匹寄り付かない。
そんな場所で、子どもの豊かな感性が育まれるでしょうか。
草の上に腰を下ろし、ちいさな虫を手でつかみ、自然と五感を通して触れあうことで、子どもは成長し、家族の生活も豊かになります。
泥だらけになって転げ回った思い出。
指先で虫をつぶしてしまった感触。
家族で汗をかきながら草刈りした時の、ジリジリとした暑い太陽。
そういった経験を、子どもたちから取り上げてしまいたくはありません。

里山のある町角

4戸共有の、広い庭をもうけました。池もあります。
そこを「小さな里山」に見立てました。
コンクリートブロックはやめました。
アルミのフェンスだっていりません。
強すぎる境界は必要ないのです。生垣や植物を使って、緩やかに仕切ってみましょう。
高い塀ではなく、植物や地面の高低差で目線を工夫してみましょう。
素晴らしい四季を持つこの土地で、植物や生きものとともに季節を感じて暮らします。
この土地に古くから根付いている植物や生きもの・自生種とともに。

そんな緑の計画をたてました。

コストの心配が頭をもたげます。
でも、リースホールド方式だから、庭に費用をかけることができました。
所有するのではなく、共有するのであれば、なおのこと境界の陰影は薄くてもよいのではないでしょうか。

ちいさな町角なので、たった4家族しか住むことができなくてゴメンなさい。
私たちの考える豊かな暮らし。一緒にはじめてみませんか。

町角の緑のディレクション


造園家・田瀬 理夫(たせ みちお)
1949年東京都生まれ。千葉大学園芸学部造園学科卒。株式会社プランタゴ代表。東京藝術大学非常勤講師。地域の自然をそのまま町に残し、環境の再生と生物多様性の回復を、ランドスケープデザイナーとして手がけ続けている。主な仕事として、バルコニーや共有スペースを雑木林にした「百合が丘ヴィレッジ」、都市に山をつくった「アクロス福岡」、赤坂ガーデンシティ、里山住宅博in神戸など。

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